
アラン島といえば、あの縄目の模様のアランのセーターが有名です。
私もその網目の逸話に魅かれ、あこがれて、20年ほど前に
初めて島を訪れました。
そして、島の女たちが海へ出ていく夫のためではなく、
もはや観光客のために、せっせと手編みしているセーターを、
何枚か買い込みました。家族と自分のために。
数年後、再び島を訪れたとき、やっぱり土産屋さんだったかもしれない、
店の片隅に置かれた頑丈でシンプルなシャツが目にとまったのです。

My Grandfather Shirt と書かれたタグ、
笑っているおじいちゃんの顔まで描かれているのがほほえましくて、ついつい買ってしまった、
それが右のシャツ。
アランのセーターの10分の一の値段でした。
雨の日も風の日も(笑)、いや、庭仕事にも、デスクワークにも、
お土産にと渡した亭主は、物持ちがいいというのか、
ほぼ、18年余り、愛用してくれました。
おかげで、頑丈でバリバリだった布はほどよく柔らかくなじみ、
色も褪せて、よい風合いです。襟や袖はさすがに少し擦り切れて
いますが、まだまだ現役。その亭主いわく、
「セーターの上に着ると風を遮り、木の枝や棘も跳ね返してくれた」と。
そうか、アラン島のおじいちゃんや男たちは、ひょっとして、風よけに、寒さよけに
あのセーターの上に着ることがあったかもしれない。
三度目にあの島にまた行くことがあったら、ぜひそれを聞いてみよう。
で、ジーンズ用の固い布の上にこの古いシャツを置いて、
ジョキジョキと形を切り、ガンガンと直線のミシンをかけ、
洋裁ビギナーの私が作ったのが左のシャツ。
余りの固さにミシン針を2本も折ってしまったけれど。
再び進呈する亭主も、文字どおりおじいちゃんになった今、さて、
シャツの寿命と長生きの競争というところです。
・・・・・

長持ちするもの、少なくとも20年は風雪(笑)に耐えられるものを、
最近、もう一つ作りました。
手紬ぎの糸で織ったラグです。
丈夫な羊の毛を太く固く紡いで、二重織にしたもの。
二重織は私の初めての挑戦で、2本の色の違う横糸を交互に入れ、
それぞれ裏と表にその色が出る織り方。昼夜織りとも呼ぶらしい。
生成りの羊の色の変化を楽しみながら、これもガンガン、
力を入れて織りました。大きさは約45×105㎝、縦糸は麻です。
玄関に置きました。
毎日、踏みつけて、これが擦り切れるまで生きていられるかな、
ものを作るとき、いつのまにか、
そういう時間軸を考えるようになりましたね。